草木染に限らず染色の魅力って様々な色を重ねて造る所にあると思ってます。勿論人それぞれの好みはあるのでこれが真理ではないですが-いすといすと-ではそういう信念の元に染色してます。
子供の頃に色を塗る時も「赤」の絵の具を使うより赤に微量の黄色を混ぜ少しオレンジ寄りにしたり、灰色をあえて黒と白を混ぜた物を使ったり。絵を描く事は嫌いだったんですけどそういう事をするのは好きでした。
染色も絵の具と同じ減法混色の原理により染め重ねる事で様々な色目が表現できます。植物から色素を得る草木染では単独の植物を使用しても複雑な色目にはなります。
ただ染め重ねる事で色は暗くくすんで行き、そのくすみと重厚感こそが僕の好きな色目なんです。
最近はそんな染め重ねの色目での受注を賜る事が多く嬉しい限りです。
先日も「藍銀煤竹」という色目でのTシャツの受注を頂きました。
色の由来は諸説あるのですが、いすといすとでは煤竹色に藍染を施し青緑系統の色目に仕上げます。
明るい所、暗い所と見る場所で全く違う表情になる不思議な色です。
染め上げるまでに3種類の植物を染め重ね5日間かけて染めるのですが、
まず初日に楊梅(やまもも)を明礬で媒染し黄色系統の色に↓
そして翌日に木酢酸鉄に浸しさらに楊梅で染色してカーキ系統に↓
と、ここまでは海松色の染色工程で、
更に翌日↓
インド茜を煮出し染め重ねると~茶系統に。これがいすといすとでの煤竹色です。
そして仕上げの藍染をして
完成となります。
楊梅・インド茜・インド藍とそれぞれに分量の加減や染色時間を変えてます。時間はかかるし、かなり気を使う作業が続くので中々大変ではあるんですが、毎日変わって行く色を見るのが堪らなく楽しいです。
そうして染色後に縫製を経て
こんな感じです!
どんな色目でも達成感は勿論あるんですが、染め重ね、特にこの藍銀煤竹は格別です笑
今回はご夫婦で受注を頂いて奥様は小豆色のワンピース。
お二人ともサイズ感、色目ともに試着段階で気に入って頂きました
お時間は多少頂きますが、染め重ねによるいすといすと独自の色・形をこれからも追及して行きたいと思ってます。