いすといすとでは色味の探求を続けています。 1つの染料から色々な色の出方を試してみたり、 別の染料を染め重ねてみたり。 そうして様々な“色”を作っています。

インド茜

茜という植物の根を煮出し染色しています。 根が赤いから茜という名前になったといわれていて柔らかな赤に染まります。古来から染料であったばかりでなく、優秀な生薬で、婦人科系のトラブルによく用いられたそうです。

紅梅色(こうばいいろ)

紅梅の花のような色目で、明るく優しい赤系統です。派手になりすぎない柔らかな色です。もともとは、シルクの靴下を染めていたころにできた色で、“可愛らしい色”というイメージを持っています。

小豆色(あずきいろ)

インド茜を鉄媒染によりくすませてます。ワインレッドに近い、渋く妖艶な色です。この色は、昔知り合いからトレーナーを預かった際に「エンジ色がいい」と言われて出来上がった色です。
当時より染色方法などは変わり、今こそ「エンジ色・・・?」な感じですが、男女ともに多くのお客様に選ばれているので、友達に感謝。な色です。
「毎回この色選んじゃう・・・」という方もいるほどです。笑
年中着やすい色なので、おすすめです。

インド藍

世界中で親しまれている「藍染」です。草木染にあまり馴染のない方でも言葉を聞いたことがあると思います。インド藍は木藍とも呼ばれるマメ科の植物で、葉に含まれる成分を抽出して藍染に使われます。 ソーダ灰とハイドロサルファイトを使用した「化学建て」で染色します。

群青色(ぐんじょういろ)

やや紫みを帯びた深い青色。何度も藍を染め重ねて深く深く染めています。“身に着けると顔映りをきれいに見せてくれる”“合わせやすい”
とつま先から頭のてっぺんまで、男女ともに人気の色です。
いすといすとには、この群青色のおかげで【全身藍染】の方が何人かいます。着古した藍染こそ魅力的なので、たくさん着古していい具合に色褪せさせて・・・と長く楽しんでもらいたいです。

勿忘草(わすれなぐさ)

江戸時代からの色名で、春から夏にかけて可憐な花を咲かせるワスレナグサ の花のような明るい青のが由来です。明るくも淡い青。 “淡いんだけど、深い色”を意識しています。
単に藍染の薄い色なのではなく、勿忘草色は、濃度を調節して何度も染め重ねるため、深い色合いに仕上がります。

石榴 ざくろ

石榴(ざくろ)の実の皮を煮出して染めています。石榴というと実の赤をイメージしがちですが、皮の部分を使用することで、温かみのあるくすんだ色に染まります。

黄はだ色(きはだいろ)

少しくすんだ、明るい黄色です。
身に着けると気分も明るくなる。そんな色です。

老竹色(おいたけいろ)

見る場所によってはカーキ~グレーの不思議な色合いです。 落ち着いた色の中にも遊び心のある、複雑な色に仕上げました。
“柳茶色”を試行錯誤している最中に偶然出来上がった色です。
「今回は渋すぎたかな~」と乾かしてみると「え?かっこいい。これはこれでTシャツ染めたい」となりまして。
独特な靄の雰囲気もあり、染める素材で雰囲気もがらっと変わるため大活躍しています。

柳茶色(やなぎちゃいろ)

茶がかった、灰色をおびた鈍い黄緑色。渋くも明るい黄緑色をつくりたい。そう思い何度も染色テストを重ねてようやく絶妙なバランスの色にたどり着きました。明るいけど渋いっていう、その曖昧な感じがいすといすとらしさだと思っているので、(作り出した喜びも込めて)いすといすと色と呼んでいただけるとなお喜びます。笑

檳榔子 びんろうじ

檳榔樹(びんろうじゅ)というヤシの木の種です。この植物も歴史が古く南北朝時代には染色に使用されていたそうです。

桜鼠色(さくらねず)

くすみがあり柔らかいピンクベージュ。春にぴったりの色です。ピンクというとなかなか踏み出せない方も多い色ですが、桜鼠色は絶妙な淡さとくすみにより、トップスとしても人気の色です。

楊梅 やまもも

楊梅の樹皮を煮出します。染料以外にも打撲傷等に効く漢方としても使用されています。

柑子色(こうじいろ)

名前の由来はコウジミカンからきているのですが、からし色ともとれるくすんだ黄色系統の色です。石榴や刈安とはまた違う温かみがあります。合わせやすいと人気のカラーで、様々なアイテムで使用しています。

海松色(みるいろ)

ヤマモモを鉄で媒染することにより、深いカーキ色に。経年後の色の変化も人気です。海中の岩に生える海藻、海松の色を表現しています。 深い黄緑色は、コーディネートにも取り入れやすい為、多くの方に選ばれています。海松色特有のもやもやとしたムラ感も人気です。

丁子 ちょうじ

香りのよい花蕾です。
別名:クローブ。カレーのスパイスとしても使われます。染色中は甘い香りが立ち込めます。

香色(こういろ)

優しいクリーミーなサンドカラーです。やや黄色味があり、可愛い色です。その名の通り、染める時にいい香り!な色です。
香りを覚えていると、工房で「あ、今丁子染をしてるな?」と匂いでわかります。笑
女性に受けがいい色だったので、レディースメインでスカートなど染めていたのですが、最近メンズパンツでの注文が増えてきたので、どんどん主役色になってきています。

ログウッド

ログウッドという木の芯材。日本には明治になり輸入された比較的新しい(といっても100年以上の歴史はありますが)植物染料です。ヘマトキシリンという色素が含まれていてヘマチンとも呼ばれています。

消炭色(けしずみいろ)

黒に近い、深いグレーです。煙がかかったような独特な靄のかかる色合いです。真っ黒じゃない、植物染料だからこその、様々な色素が出した深いグレーをぜひお楽しみください。かっこいい色を!と言われたら、まずこの色を差し出します。笑
ね?かっこいいしょ?

五倍子 ごばいし

昔お歯黒にも使用されていた五倍子。ヌルデの木にできた虫こぶです。鉄で媒染することにより、赤味のあるとてもきれいな色が染め上がります。

淡藤色(あわふじいろ)

やや赤味がかった上品で優しいグレー。
一言でグレーといっても色々なグレーがあります。
淡藤色は、青みと赤みを併せ持つ、独特な五倍子染をそのまま映し出した不思議な色合いです。
灰色~淡い紫で、太陽光の元と室内でも見え方が変わり、衣服として着やすくも色としても楽しめます。

滅紫色(けしむらさきいろ)

店主が、どうしても五倍子だけで青みがかったグレーが作りたい。と言って試行錯誤。染色工程の中での媒染方法やアルカリ性にするなどして赤黒さをより引き出しました。重厚感のある深いグレーに仕上がりました。正直やりたかった色はまだまだ試行錯誤中なのですが、偶然できたこの色は個人的にすごく好きな色だったのでレギュラー化。今では人気の色です。

矢車 やしゃ

ヤシャブシ。殺菌作用があることから、乾燥させた球果の煎液で火傷や凍傷の患部を洗い、皮膚の炎症を抑える薬として使われてきました。五倍子にかわるお歯黒の染料としても使われました。

橡鼠色(つるばみねずいろ)

やや黄味がかったグレー。暗すぎず、明るすぎずのとても渋いこっそり人気カラーです。単体でももちろんかっこいい色なのですが、“引き立ててくれる色”として活躍すると思っています。今日どの色下にあわせようかな~って時に、だいたいこの橡鼠色を持ってくるとピタッとはまるんです。あえて、脇役の色ナンバーワンと呼びましょう。笑
トップスとパンツを橡鼠色で。靴下などで差し色を。そんな着こなし方も楽しいです。目立たないけど、独特な雰囲気を醸し出す。そんな色で好きなんです。

刈安 かりやす

緑実の鮮やかな黄色の植物。イネ科の植物でススキによく似ています。名前のゆらいは刈り易いという所からきているそうです。

刈安色(かりやすいろ)

明るい黄色。澄んだ色で、明るく華やかです。結構レモン色のようなかなり明るい色なので、初夏~限定で染めてます。
夏!にはもってこいの、パッと気分も上がる色だと思います。
逆に言えば、草木染にしては珍しく、くすみの少ない色。
店内に一着でもあると存在感があるので、すぐに見つけられるでしょう。

~染め重ねによる色~

紅藤色(べにふじいろ)

インド茜と五倍子

明るくも上品な紫系統の色です。茜の分量を調節し、妖艶な紫ピンクに仕上がりました。
いすといすと立ち上げ当初、友人であるアパレルショップの店長から「この色!こんな色が女の人はみんな好きよ!!!」と断言された色です。なので、自信たっぷりなんです。笑
当時男一人で染めていたので、アパレル経験のない僕は女性が好きそうな色なんて考えたこともなかったのですが、ここぞとばかりに紅藤色に重ねています。

二人静 ふたりしずか

インド茜と五倍子

同じインド茜と五倍子ですが、アルカリで赤味を強く出し、深い紫~茶色に仕上げました。
こちらは深い紫色。室内で電球色のLEDライトに当たっていると、「これ茶色?」と言われます。
インド茜(赤に染まる染料)で染め重ねているからこそだと思いますが、「外に持って行って見てきてください」と太陽光の下で見せると、「ほんとだきれいな紫色~!」とびっくりされるので、そのたびに(しめしめ)となります。

曙色(あけぼのいろ)

インド茜と石榴

曙の空を思わせる、ぱっと明るく、夕焼けのような赤みが強めのオレンジ。草木染で染めるきっかけになった色です。元々、【かっこいいオレンジ色のTシャツが欲しい】と思い探すも、コレ!という色がなく、そんな中やっと見つけた色が、草木染で染めたオレンジ色でした。そこから草木染にのめり込みました。・・・この話は長くなるのでこの辺で。しかし結構明るめの色だから・・・と、Tシャツ以外はこれまで雑貨や靴下などで染めていました。でも最近は、「この服、曙色染めてないの?」と度々言われることが多くなり、おかげで今は、石榴とインド茜が沢山出ていきます。笑
染め重ねならでは。石榴の黄色が内側からもやもやと見えてきて、ベタっとしない深みのある曙色。おすすめです。

煤竹色(すすたけいろ)

インド茜と楊梅

5日ほどかけてじっくり染色。内側から赤みやカーキが見え隠れする深い茶色です。こちらは長く通っていただいているお客様からのオーダーで、「茶色を染めてほしいなー」と言われ、「そういえば茶系統まったくなかった!」と気づき、しかし茶色ってどうやって染める?と割とレギュラー化させるまで時間がかかった色です。そして、染めるのにも普段より日数がかかります。が、赤とカーキにより作り出した、“煤竹色”はとにかくかっこいい色に仕上がりました。
インド茜と楊梅で染め重ねる以外にも色々と方法はでてきたのですが、この二つの染料が交じり合い赤味が強く出ていこの染色方法で染めています。煤竹をイメージしたムラ感もぜひ感じていただきたいです。

木賊色(とくさいろ)

楊梅とインド藍

楊梅のくすんだ黄色系統のいろによりダークな緑に仕上げました。インド藍との染め重ねで、所々ムラをだしより自然な風合いに。生地により毎回微妙な濃淡の違いがでます。“緑が好きな人のための、おすすめ木賊色”をコンセプトに染めています。緑って、草木染では一発では出すのは難しく、特にここまでパッとした緑は染め重ねじゃないと表現できないんです。
草木染といっておいて、葉っぱの色はだいたい緑なのに不思議ですよね。緑好きな方、いすといすとの木賊色、いかがでしょう?

若草色(わかくさいろ)

石榴とインド藍

黄緑に近く、若葉を連想させるとてもポップでやわらかい色です。
いすといすと立ち上げ当初、たぶん最初の“染め重ね”の色です。石榴の明るい黄色とインド藍の染重ねなので、やわらかい、明るい黄緑色になりました。見ていてほっこりしてもらえると、嬉しいです。

紺鉄色(こんてついろ)

ログウッドとインド藍

藍染の後にログウッドを染め重ねます。暗さの中にも鮮やかな青みが残る紺色とも違う限りなく黒に近い青。長く着用するうちに色が馴染んでいき青なのか紺なのか黒なのかさらに分類できない感じになっていきその変化も楽しめる色目です。

鉄鼠色(てつねず)

楊梅とインド藍

楊梅で海松色に染色後、藍を何度も重ね、ほぼ黒に近い色に。見るところでは緑がかったように見えたりと一見黒でも味わい深い色です。
草木染で表現したい色ナンバーワンは?と聞かれたら、迷わず“黒”と答えます。もちろん黒にも色々な黒があるのですが、まずは第一弾。やや緑がかった黒をどうぞお楽しみください。